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入局・研修について

留学体験記

太田 教隆 先生
2007年7月―2009年

カナダ モントリオール Montreal Children's Hospital
出典:メディカ出版、CIRCULATION Up-to-Date
カナダでの心臓血管外科武者修行(現在の研修システムを通じて・・・・)

 フランス語の院内放送、フランス語で泣きじゃくる子供、英語とフランス語を織りまぜて準備する看護師さん、私は今まさにその中で術後患者さんのドレーンを抜こうとしています。このようなフランス文化そしてイギリス文化をあちらこちらで感じることの出来るパリに次ぐ世界で2番目に大きいフランス語圏都市=モントリオール。ここへ心臓血管外科武者修行に来て1年以上が経とうとしております。

1.はじめに
2007年7月にMontreal Children’s Hospital Department of Cardiovascular Surgery clinical fellowとして渡加いたしました。私の勤務するこの病院は、Montreal General Hospital, Royal Victoria Hospitalと共にMcGill University Health Care Centerの一つでありいわゆるMcGill大学附属病院の一つでもあります。McGill大学は、フランス文化が色濃く残るMontrealにて毛皮貿易で財を築いた英国人James McGillの遺産をもとに1821年に設立された英語系の大学です。大学の授業は勿論、院内でも公用語は英語ですが、患者さん、看護師さんとのやりとり、そして院内放送も含め仏語が飛び交うというのはMontreal市内にある施設ならではの光景です。さて、まだ留学して1年も経たない私に「留学とは・・」なぞ大それたことは書けませんが、今の私なりにカナダで感じたこと、ここでの生活、得たことを少し書いていきたいと思います。

2.留学までの道のり
毎日非常に忙しく心臓外科医研修医として病院勤務をする中で、私も海外臨床留学への興味は漠然と持っておりました。UCSF(現在このチームはStanford大学に移動)に7日間ほど見学に行った時、小児心臓外科チームのresident, fellow達が日本の心臓血管外科研修医と同等いやそれ以上に忙しい勤務をしているもかかわらず精力的に生き生きとしているのを見て少し体力に自信のある僕でもこのハードな生活をずっと続けられるかな?と思ったのと同時に、一度はこのような環境に自分の身を置いてみたいといった思いが心の奥に芽生えたのを今でも鮮明に覚えています。 
静岡県立こども病院に赴任して以来、学会会場で小児心臓血管外科関連の招請演者には片っ端から声をかけていた私は、とある招請演者から当時彼が日本で得た最新デジカメをいじりながら次のようにいわれました。
招請演者:「君は少し疲れているように見えるけど・・・」 
私:「昨日担当患者の手術があり、その後ずっとICUに泊まって術後管理をした当直明けで今日来ました。」
招請演者:「朝から手術に入り、そのままずっとICUでの仕事かい?ICU doctorは?」
私:「日本ではまだ開心術後ICU doctorが主体となって術後管理をする所は多くなく、我々研修医がそれらもカバーするのが一般的です。」
私:「一般病棟のカバーもちろん、こども病院で外来診察もしています。」 
招請演者:「どうして心臓外科研修医が何もかもこなすんだ。おまえはよっぽどハードウォーカーなんだな。」 
私:「これが一般的なのです」 
招請演者:「是非おまえと写真を撮りたい」 
と言ってその最新のデジタルカメラ(もちろん日本製)で私と写真を撮って去って行きました。 
それから3年後のある日いつもと同じように担当患者さんの術後管理のため当直をしていたら、夜中に守衛さんから「先生、何かカナダ、カナダと連呼している外人さんらしき人から外線ですが・・」と連絡があり、つないでもらうと、私との写真を新しいカメラに納めていった彼から「カナダに来てみるか?」といった内容の連絡でした。
それからカナダでの臨床医(clinical fellow)としての資格上必要な書類や、試験受験等の準備(※)を右も左も分からぬままひたすら行い、今日までに至っております。
(※:具体的なカナダ臨床留学資格等に関してもう少し情報の必要な方は、直接下記連絡先まで連絡を頂ければ私の分かる範囲内でいつでもお答え致します。) 

2.カナダの医療事情
次に少し日本とは異なるカナダの医療事情、そこから見えてくる患者さん背景について述べてみたいと思います。カナダの医療は日本と同様に国民皆保険制(メディケアカードが住民に配布されます。もちろん私も持っています。)です。そして基本的に完全無料ですべての医療が受けられます。従って開心手術を受けICUに一週間入院し集中医療を受けてもお金は一切かかりません。ですから病院には会計窓口がありません。院外処方なので薬は自費購入になります。また専門医への受診はすべてfamily physicianからの紹介になりますので、大学病院や関連の研修病院には受付もありません。日本と同様に皆保険制でありそして教育システムは米国式が採用されているのです。
お金の心配をしなくてもいい反面、医療機関へのアクセスは大きな制限を受けます。救急外来は5−6時間待ちが当たり前ですし(もちろん最初にトリアージがされますので、重症患者さんは優先されます)、専門医療機関への予約もかなり混んでいます。ケベック州でも医師不足が問題になっていますが、予算にも限度があり、むやみに医学生を増やしたり外国人医師に簡単に開業免許を発行したりはしていません(仏語系医学部卒業者以外には仏語の試験が必要です)。一般住民は、当然多くの不満を抱えています。Family physicianがいない住民はCLSC(保健所+診療所の機能を兼ね備えた施設)や、支払いが必要ですがwalk-in clinicに駆け込むことになります。また受診を受けても専門医の受診までは更にに数週間から数ヶ月かかるので、胸痛発作によりERに搬送されそこから直接入院といった患者さんも少なくはありません。また悪性腫瘍の患者さんも一般に症状が進行していることが多いようです。また上述のCLSCでは術後フォロー(ガーゼ交換、抜糸、開放創の処置など)や訪問看護などが行われ、この医師不足のケベックの医療において重要な役割を果たしています。

3.カナダ心臓外科レジデント研修内容。
<研修医> 
アメリカの心臓外科研修とは少し異なり、ここカナダでは卒後すぐに心臓外科研修プログラムに入ることになります。また、日本の研修システムと一概に比較するのも簡単ではありません。 
はっきり言えるのは、①日本の初期研修に相当する部分がこちらでは医学部3年、4年の病院実習に一部相当する、②それぞれのレジデント学年での研修内容、到達目標がはっきり決まっている、といったことではないでしょうか。

心臓外科研修に定められている研修期間は最低6年であり、研修内容を以下に簡単にお示しします。
R1(研修医一年目):一般外科ローテンション(日本での初期研修に一部相当します。)
R2(研修医二年目):6ヶ月;心臓外科病棟Jrレジデント;Royal Victoria Hospital(年間1500例開心術が行われている)心臓外科病棟での術前・術後管理。開心術アシスタント(静脈グラフト取り、開胸閉胸を学ぶ)。(6年間のプログラムの中で最もハードな時期の一つである)
4ヶ月;ICU Jrレジデント、2ヶ月;カテ室、エコー室Jrレジデント。
R3(研修医三年目):リサーチ(完全に臨床から離れオンコール、緊急手術のみ手伝う)
R4(研修医四年目):4ヶ月;Montreal general Hospital(年間400-500例開心術が行われている)病院での病棟管理から手術の第一助手。(ここで内胸動脈採取、バイパス手術の基本手技(中枢側吻合など)を学ぶ)6ヶ月;大血管グループレジデント。2ヶ月;Traumaレジデント(この外傷救急レジデントでほとんどの胸部外科関連の外傷症例を学ぶことが出来ます。ナイフが胸奥深く(心臓)まで突き刺さった患者さんや、既に手錠がはめられている患者さんなども少なくなく、私も色々お手伝いさせて頂きました。)
R5(研修医五年目):半年;こども病院チーフレジデント、半年:胸部外科(肺外科)チーフレジデント
R6(研修医六年目):一年間毎日手術室一室(2case/day以上)を完全に任される。指導医とマンツーマンでskin to skinで手術を行う。

このレジデント6年目の一年間でかなりの症例数を執刀する機会に恵まれ、この機会を目標にR5以下レジデントは日々努力しています。力のあるレジデントはこの段階で既に基本的手技(冠動脈バイパス手術、弁置換等)は自分でこなせるようになります。同様にGeneral Surgeryのレジデントプログラム(5年)でも終了時においてレジデントは胃切、基本的肝臓手術は、責任を持って執刀できるレベルになっております。ここMcGill大学医学部附属病院での全ての外科手術は基本的に指導医とレジデントの二人で行われ開心術においても例外ではありません。R6レジデントが内胸動脈を取り、その間指導医(コンサルタントサージャン)が足の静脈取りをするといった光景も珍しくはありません。もちろん患者さんのConsentには「当院は教育病院であり、コンサルタントサージャンのコントロールのなか手術がチームで行われる」といった文章が必ず各科の手術承諾書には印刷されており患者さんは全員それにサインをして手術室入室可となります。一方レジデント一人あたりにこれだけの執刀数を維持するために、毎年のレジデント数は制限され、自ずとR5以下レジデントの病棟の患者さんを支えるための仕事量は膨大なものになっています。逆にこのような明確な目標があるために努力できるのでしょう。レジデントプログラム終了時にそれぞれの分野の専門医試験を受ける資格を得ることができ、合格後スタッフポジションを得ることが出来ます。ほとんどのレジデントが専門医試験合格後更に専門性を高めるためにfellowプログラムに進みます。

 ここケベック州では専門医試験受験資格を得るには、日本同様研修指定病院での研修が義務づけられておりまたその研修プログラムディレクターの推薦が必要です。人口約760万人のここケベック州で年間1000例以上のHeart Centerはいくつか存在し、それぞれが研修プログラムを持っておりますが、その中でもカナダ心臓血管外科専門医受験資格が得られる研修指定病院はここMcGill大学とMontreal Heart Instituteの2病院だけなのです。そうすることによりここカナダでの心臓血管外科専門医のQualityを保ちそして人数的制限が加えられているように思えます。
全体を通して感じることは、「到達目標や期間がはっきり定められており、それを目標に日々の努力を惜しまない」といった感じでしょうか。 
一方、各レジデントの評価は数ヶ月に1回スタッフミーティングによって行われ、それぞれのレジデントの研修内容、到達度合といった情報交換は比較的スタッフ間で密に行われております。一方レジデントも指導医ないしはレジデントプログラム内容を評価し、ここMcGill大学ではオンラインによって行われており、指導医もしっかりと評価されております。従って手術中における手技指導も比較的各スタッフ間での大きな差はないように思われました。
また、毎週木曜日は”Teaching round”となり毎週1時間半何らかのトピックについて講義、discussionがあります。この時は、病院全体の業務が1時間半遅れでスタートし診療部のみならず看護部等他部門も勉強会もしくはミーティングを行っています。こうして病院全体で業務時間を遅せ、各部門での教育時間に使用しているようです。
このようなプログラムに対してのレジデント募集人数は各学年二人に制限され一人はCanadian resident , もう一人は必ず母国に帰るinternational residentといった構成になっています。従ってCanada国内の医学生に対するresident枠は実質1であり実質倍率は、7-8倍にまで上ります。
<医学生> 
McGill大学は2007年の世界大学ランキング(THES - QS World University Rankings)で世界12位にランクされるほどであり、実習に回ってくる学生のレベルは非常に高く感じます。また現在の日本の研修医システム同様、医学生の卒後研修先は、マッチングシステムによって決まり、面接、採用試験に加え、学生実習内容も評価の対象となりそれだけ学生の実習態度・積極性も非常に高いものを感じます。
McGill大学全体でも積極的にinternational medical studentを受け入れており、私もこの半年間で延べ15人以上の医学生と一緒に仕事をし、うち半数がinternational student (ドイツ、スイス、ブラジル、アラブ、イラン、南アフリカ)でした。彼らの心臓外科一般病棟での研修(仕事)内容は、早朝の回診に始まり、検査結果に対する治療方針、指示にまで及びます。そして入院時初診から術前オーダー、術後一般病棟管理までこなしていきます。
手術室では、開胸の前立ち、足の静脈取りの補助や閉創を行い、最初は非常に頼りないのですが積極的な学生はみるみる一人でこなしていくようになります。 
当然全ての手技、治療方針指示決定に指導医が付きますが、研修ローテンション(平均4週)後半にはほとんどJr.レジデントと同等の仕事(研修)内容をそつなくこなす学生が出てきて、またそれを課している指導医にも驚きを感じました。
こうしたinternational studentが集まる背景には、自国の医学生実習では経験出来ない実務研修がここMcGill大学で経験できることにもあるようです。
私も最初は学生に医師の確認があるとはいえこんなに仕事を任せても良いのか?ととまどいを覚えましたが、今となっては彼らの労働力無くしては病棟運営は難しいとまで思えます。

4. International Training
もともと多くの移民によって構成されているここカナダでは、やはり医療職員、レジデントも多国籍の人々によって構成されております。ここMcGill大学出身の医学生、レジデントですらteenageの時にカナダに移り住んできた連中は少なくなく、両親も含めここカナダで生まれ育った人を探すのは非常に困難なくらいです。もちろん共通言語英語(仏語?)を使いこなした意思疎通は最小限必要なことですが、同じカナダ国籍を持つ人々でもそれぞれのオリジナリティからくる微妙な価値観の違いがありそこまで理解し合って業務をこなすのはいささか大変です。当然患者さんへの不利益にまで及ぶことは全く無いのですが、業務上は少し「えっ?!」と思われることは多々あります。私も最近ようやくそれらも含め理解し余り気にせず周りをコントロールし業務を遂行することが出来るようになりました。当然、指導医は色々な価値観のresident, fellowの行動、発言に対して特に驚き、怒りを見せることはなく(やはり奇行に対しては手術中にうわさ話程度には話題にはなりますが)それらに対して厳しい処分などを課することはありません。こうした多国籍軍の中で先端医療を学びまたそれの一端を担っているというのはここカナダの特徴の一つかもしれません。
そしてそうした多国籍軍からくる色々な価値観の中で、みんな「人を助けたい」といった共通の意識があり、音楽、スポーツのみならず「医療」も国境無き共通の言語と言えるのではないだろうかと改めて強く感じられました。

4.現在の私
一般的に小児心臓血管外科研修は大人心臓血管外科研修後の次のステップに位置づけられている中で、「coronary吻合が満足に出来なくてどうして小児(新生児)心臓血管外科ができるの?」といった風潮があるように感じました。Coronary bypass surgeryの経験のない私は、Clinical Fellowでありながら大人の心臓血管外科医としてはMcGillレジデントのR6(研修医6年目)のレベルにも達しておりません。そこで私のとった選択は、まず最初の半年間(2007年6月-2007年12月)adult cardiac surgery(成人性先天性心疾患も含む)を中心にRoyal Victoria Hospitalに勤務、R2(研修医2年目)と同様の勤務体系でオンコールを取り、R6と同様に毎日2例以上手洗いを行い、手術をするといった内容です。
幸い昨年度(新年度は7月より始まります)はR6に値する学年のレジデントがおらず労働力としても非常にありがたく思われたようです。合わせて年間2000例弱の症例をこなしそれだけの患者フローのある複数病院の病棟オンコールを夜間及び週末取ることは無謀であり、且つ最初の数週間はかなり大変と思われる部分もありましたが、ここで英語(仏語?)の対応を更に鍛え上げられたような気がします。
この最初の6ヶ月間の間、Adult cardiac surgeryの基本的手技(足の静脈、内胸動脈の採取)の研修をする機会がほとんどないまま渡加した私にとって、Adult centerでの研修は非常に大変なものでしたが、色々な経験をさせて頂いた私は、ようやくここでの臨床研修のスタートラインにた立てたような気分です。
2008年1月からは私のボスであるDr.Tchervenkovの勤務先Montreal Children’s hospitalに移っております。そして現在でも週2日はAdult Cardiac Surgeryをこなすボスについて行き,大人の手術の研修も継続しております。それ以外はこども病院で1日2例平均で症例をこなしていっております。そのような新しい環境の中で現在私は、大人、小児に関わらず私が手術に関わった全患者さんを早朝より車で各病院を回診に周り(Picture 1)その後その日行われる手術室に行くといった毎日を送っております(冬季(12月-3月)は、外気は-20℃前後であり時にはsnow stormもある中での病院間移動は,慣れない私には大変でした)。回診風景写真解説を見てお気づきの方もおられると思いますが、この回診にはphysician assistantがついています。Physician assistantの仕事カバー範囲は非常に広く、病棟の患者管理(オーダーから処方まで)、手術室では前立ちから、足の静脈取りまでこなしていきます。Physician assistantの賃金は、病棟での勤務時間数、手術室では手洗いした件数など業務内容によって歩合制で支払われます。もちろん熟練したphysician assistantともなれば臨床能力、技術共にresident以上であることは言うまでもありません。一般的にはMcGill Universityの心臓血管外科では経済的理由、resident教育的理由よりスタッフとして常時physician assistantを雇ってはいないようです。

 そして現在、私は小児病院では可能な限りの執刀、そしてICUでの術後管理手伝い(主にICUドクターがもちろん全部管理しています)。Adult領域では、心停止まで全て一人で行い(CABGの場合は内胸動脈採取も含め)それ以降はstaffを前立ちにして手術を行うといった具合です(Picture 2)。私は手術を中心とした生活を現在送っておりますが、入院から退院まで含めた患者さん管理にはjunior residentはもちろんのことresearch nurse等多くのスタッフの仕事量は膨大なものです。それら周りのスタッフとの良い関係を築きそれを維持することもsenior residentにとっては大切なことであり、それも将来のための研修内容の一つと言えるのではないのでしょうか。


5.最後に
こちらでこの約一年間の研修で強く感じることは、resident一人一人が自分自身の研修、将来に対する目的意識が非常に高く常に半年先、一年先の自分を見つめ、時には自分自身で研修内容のアレンジを要求してきます。また教育者側もそのアレンジ、要求を可能な限り受け入れ、residentの個人能力に応じて自主性を出来る限り尊重しているように思われました。また一度4年制大学を卒業した後、更に4年間の医学部生活を送ってきた彼らは、(その教育制度は以前より理解し知っておりましたが)私の想像していた以上に医学部学生研修生として、また社会人としてしっかりしているように実際にこちらに来て感じられました。
そして医師になって、心臓外科研修医の狭き門(Canadian Medical studentに対して、毎年新人研修医枠はカナダ全土で7-8枠しかありません)をパスした後も彼らは大変です。何となく医者数年目から正規職員としてそれなりの給料をいただける日本の心臓血管外科医とは異なり、こちらでは専門医資格を取らずして正規職員(staff position)に昇格することはなく、また専門医を取ったとしても、staff positionを得ること自体が現在北米では困難なようです。そしてstaff positionを得ることなくしてそれなりの給料を得ることは不可能であり、staff positionを得ても症例数がなければ収入は上がりません。そういった点からも、彼らは非常に早い時期から将来を見据えて自分の進むべき方向(心臓外科医としてどのspecialtyを身につけそしてどこのポジションがあいているのか)を考え模索しているようにも思えました。そして、こちらでは皆さんもご存じのようにsurgeon’s  fee(術者手当)というものが存在し、彼らの年収の8割以上がその術者手当で成り立っております。すなわち自分たちの収入を維持するためには自分たちに患者を内科医から紹介してもらわなければならいなので自分の成績維持、そして患者獲得のために努力は惜しまないようです。

出来る限りこちらに来てから新たに感じられたことを中心に書いてきましたが、まだまだ僕自身も全体が見えていない部分もあり、読みにくい箇所もあるかもしれませんが、それも含め日本から渡加した現在の一臨床医の姿と理解して頂ければ幸いです。 
最後になりましたが、私のこれまでの心臓血管外科医としての研修において研修医時代よりたたくさんの方々にお世話になりました。また今回このような貴重な留学の機会を得るのに坂本喜三郎先生(現静岡県立こども病院副院長兼循環器センター長)を始め多くの先生方に多大なご支援をいただきましたことをこの場を借りて御礼を申し上げます。

Montreal Children's hospital
私が現在働いている中心病院。

Montreal general hospital
Adult cardiac surgery, ERにてtrauma外来を主にカバー

Royal Victoria hospital
Adult cardiac surgery, adult congenital surgeryを主にここで行っています。

Down town風景
Mont Royal Parkより眺めるダウンタウン風景、左手前の円形ビルディングはMcGill大学医学部校舎。

早朝回診風景。右より筆者、研修医(2年目;Canadian resident)、Physician assistant(ドバイに住み、モントリオールにも家を持つ不定期に働くパートタイマー)、研修医(2年目;サウジからのinternational resident)、Medical student (from Brazil)、Medical student(from Switzerland)

手術室風景。右;Dr. Tchervenkov(私のボス)、中央;筆者、左;研修医(6年目;Canadian resident)

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