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患者さんへ

大動脈疾患

当科では積極的に大動脈のカテーテル治療(ステントグラフト内挿術)を行っています

京都大学心臓血管外科では大動脈瘤や大動脈解離に対して積極的にステントグラフト内挿術を行っています。ステントグラフトは従来から行われている大がかりな開胸・開腹手術と異なり、患者さんへの侵襲が少ない新しい治療法です。

近い将来には大動脈瘤治療の7-8割はステングラフトにより可能になると予想されているほど画期的な治療法です。

ここではステントグラフト内挿術を中心に大動脈瘤の治療法についてご説明します。

大動脈瘤とは?

大動脈瘤は心臓から全身に血液を送る大動脈という太い血管がこぶのように膨らんでくるもので通常自覚症状がありませんが、万が一破裂すると死亡率が非常に高い疾患です。主な原因としては高血圧・動脈硬化があり、それらのストレスで徐々に大動脈が拡大していきます。

通常は健康診断や他の疾患の検査中に偶然発見さえることも多いのですが、破裂すると致命的なので、発見されたらまず心臓血管外科などの専門医を受診する必要があります。

大動脈瘤はそれができる部位によって、胸部大動脈瘤や腹部大動脈瘤と呼ばれます。部位により治療の危険性や難易度が異なります。

大動脈瘤の治療法は?

大動脈瘤の治療には薬物治療、外科手術、ステントグラフト内挿術があります。

大動脈瘤があまり大きくない場合は、血圧降下剤などを内服して血圧をコントロールして経過観察を行いますが、残念ながら薬物治療で大動脈瘤が小さくなることはありません。経過観察は通常数カ月~数年ごとに断層撮影(CT)にて行います。

しかし動脈瘤の最大径が胸部では約6 cm、腹部では約5 cmを超えた場合は破裂の危険性が高くなりますので治療を考慮する必要があります。

外科治療とは?

外科治療は約50年前から行われており、長期成績も安定している確実な治療法で、全身麻酔下に開胸または開腹して行います。しかしながら外科治療法には少なからぬ侵襲を伴っており、特に胸部大動脈瘤の手術では体温を20度程度に下げて、一時的に全身の血液循環を停止する必要があるなど、非常に侵襲が大きい手術となります。

そのため動脈瘤の手術には成功しても、手術の影響でさまざまな合併症を起こしたり、大量の輸血を必要としたり、入院が長期になったりすることもあります。

そのため高齢者やあまり全身状態があまり良くない患者さんには、手術をせずに経過観察をおこなうこともあり、そのため不幸にも動脈瘤破裂で亡くなられる患者さんもおられます。

ステントグラフト治療とは?

最近そのような開胸・開腹手術の代わりにステントグラフト治療が脚光を浴びています。

ステントグラフトは足の付け根を5cm程切開し血管を露出し、その血管から折りたたんだ人工血管をカテーテルで動脈瘤まで運びます。動脈瘤に到達してから内側から人工血管広げることにより動脈瘤を内張りするような形で補強し、瘤の破裂を予防します。

ステントグラフトは全身麻酔でなく局所麻酔でも可能であり、当科は積極的に局所麻酔でのステントグラフト治療を行っています。従って外科治療と比べてかなり低侵襲であり、高齢の方や、他に病気を持っていて外科治療が困難な患者さんに理想的な治療法です。

しかしすべての患者さんにステントグラフト治療が適応となるわけではなく、大動脈瘤の形態や場所によってはステントグラフト治療が困難であったり、また外科手術・ステントグラフトの両方の治療が可能であるけれど外科治療が適している場合もあります。またステントグラフトは外科治療ほどの長期成績はまだ不明で、今後さらにデータを蓄積する必要があります。

治療法は専門医にご相談いただき、双方のメリット・デメリットを十分に納得された上で最終的には患者さんご自身に決定いただくことになります。

当科は循環器内科と共同で大動脈ステントグラフトチームを立ち上げており、外科医・内科医双方の得意分野を生かしたコラボレーションにより、よりハイレベルなステントグラフト治療を提供しています。最近はより低侵襲のステントグラフト治療を望まれる患者さんが多く、多くの先生方より患者さんの御紹介をいただいております。

ステントグラフトのタイプ

ステントグラフトはもともと医師による手作りでしたが、最近では市販品が普及しており、腹部大動脈瘤については当科でもほぼすべての患者さんに市販ステントグラフトを使用しています。

腹部大動脈瘤用市販ステントグラフト

しかしながら胸部大動脈瘤は頭に血流を送る大切な血管が動脈瘤に含まれることが多いため、市販品では十分に対応できない場合もあります。そのため全身麻酔で頭への血管の血流を確保する手術を行った後に、ステントグラフト治療を行うことも多く、まだ胸部大動脈瘤に対するステントグラフと治療は完全であるとは言えません。

また大動脈解離(解離性大動脈瘤)などに関しては市販品は原則的に適応外であり、やむなく使用されているのが現状です。

井上ステントグラフトとは?

井上ステントグラフト

そこで当科ではステントグラフト治療の世界的パイオニアである井上寛治先生(PTMC研究所所長)の開発された井上ステントグラフトを併用しています。

井上グラフトはまだ薬事法未承認ですが、患者さんの動脈瘤形態に合わせたオーダーメード治療を行っており、慢性大動脈解離など難症例に対してもすぐれた治療成績を認めています。

胸部大動脈に対してはまず市販品を考慮しますが、形態上市販品では治療困難な場合は井上ステントグラフトにて治療を行っております。

胸部広範囲動脈瘤に対する井上ステント留置

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Contact

京都大学 心臓血管外科(京都大学医学部附属病院心臓血管外科病棟)
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54
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