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患者さんへ

不整脈の外科治療

不整脈とは

不整脈とは、心臓の鼓動のリズムが乱れる状態のことです。この中には不規則な脈のほかに脈が速くなる頻脈(ひんみゃく)と、脈が少なくなったり途切れたりする徐脈(じょみゃく)も含まれます。
心臓は左右上下4つの部屋に分かれていて、上の方の2つの部屋を「心房(しんぼう)」といい、下の方の2つの部屋を心室といいます。心臓はこれら4つの部屋がタイミングよく収縮、拡張を繰り返すことで、血液を効率よく全身に循環させるポンプとして働いています。洞調律(どうちょうりつ)と呼ばれる正常な脈は心臓の上の方にある洞結節(どうけっせつ)というところで自然に電気がおこり、心房と呼ばれる心臓の上の部屋に電気が広がります。その後、心室と呼ばれる下の部屋に電気が流れますが、これには房室結節と呼ばれる心房と心室をつなぐ組織を通ります。中継所である房室結節を通って、心室全体に電気が流れることにより心室の筋肉が一度に収縮し、全身に血液が送られます。この一連の電気刺激伝導の不具合を総称して不整脈といいます。

この項では心臓弁膜症等に度々合併し、外科治療の対象となる心房細動について説明します。

心房細動について

心房細動とは
不整脈には沢山の種類があり、心房細動はそのひとつです。心房細動とは、心房内に不規則な興奮が1分間に400回以上も生じるために、まるで心房が「震えている」ようになり、心室の興奮(つまり脈拍)も全く不規則になってしまう不整脈です。

心房細動発症のきっかけ
心房細動はストレス・飲酒・喫煙・過労・睡眠不足・脱水・加齢などが誘因となり発症すると言われています。さらに、心臓弁膜症・心筋症・虚血性心疾患などの基礎疾患がある場合、心臓に負担がかかり心房細動を併発する可能性が高くなります。また、甲状腺機能亢進症などの心疾患以外の病気に併発することもあります。

心房細動発症のメカニズム
心房筋の変性により興奮伝導のばらつきが生じ、これが伝搬方向の異なる複数の興奮波を形成し、電気的な興奮がある程度の大きさでぐるぐる回って回路を形成(マクロリエントリー)し、心房を連続的に興奮させ、心房細動を発生させると考えられています。心房内のさまざまな場所が興奮の引き金(トリガー)になり得ますが、基礎疾患のない患者の90%以上は肺静脈の期外収縮がトリガーになるといわれています。

心房細動の症状および問題点
この不整脈はすぐに死亡に直結するような危険な不整脈ではありませんが、(a)脈の規則性がなくなることで、「胸がどきどきする」「胸の不快感」「胸の痛み」などの症状が出たり、(b)心房の収縮が無くなることで、心臓のポンプ機能が低下し、体を動かした時に息切れなどの心不全症状が出ることがあります。また、(c)心房の中の血液の流れに“淀み”が生じ、血栓と呼ばれる血液の塊ができやすくなり脳梗塞を生じる危険性が高まる、などの問題が起こります。

心房細動の治療
心房細動の治療は大きく薬物治療と非薬物治療に分けられます。
<薬物治療>
抗不整脈薬による治療として、頻脈に対して、心拍数、つまり脈の数を減らす①「心拍数(レート)コントロール治療」と、脈の乱れを正常(洞調律)に戻して維持する②「リズムコントロール治療」が挙げられます。また、脳梗塞の原因となる心房内血栓の形成を予防するための③「抗凝固療法」も重要です。リズムコントロール治療の際、薬物療法の補助として電気的除細動(電気ショックをかけてリズムを正常に戻す治療法)が併用されることがあります。
<非薬物治療>
薬物治療による不整脈のコントロールが難しく、自覚症状が持続する場合は非薬物治療が選択されます。心房細動に対する非薬物療法には(Ⅰ)カテーテル治療、(Ⅱ)外科的治療があります。ともに薬剤抵抗性の頻脈性不整脈の根治が可能で、 (a)規則正しい脈拍を回復し、(b)心房収縮を回復し、(c)脳梗塞発症のリスクを無くすことができます。 (Ⅰ)カテーテル治療とは、血管にカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、血管を通して心臓まで到達し、心臓の内壁を焼灼(アブレーション)して不整脈の原因となっている発生起源や電気回路を遮断することでリズムを元に戻す治療法です。心腔内に電極カテーテルを挿入し、心腔内の様々な部位からの電位記録と電気刺激(ペーシング)を組み合わせることにより不整脈の種類や機序を診断する心臓電気生理学的検査の飛躍的な発展とともにカテーテル治療が可能となりました。 (Ⅱ)MAZE(メイズ)手術に代表される心房細動手術は、全身麻酔下に開胸し、心臓の内壁・外壁に伝導ブロックを作ることで、心房内で考えられ得る全てのリエントリー回路を断ち切り、リズムを元に戻す治療法です。近年、切開・縫合や冷凍凝固に加えて、心房壁を電気的に隔絶する様々なデバイスが開発され、心房細動手術は短時間で確実に行えるようになりました。現在行われているMAZE手術では心房細動を非常に高い確率(8〜9割)で洞調律に戻すことが可能です。弁膜症を合併している場合や血栓症の既往がある場合に主に適応となります。

健康成人で不整脈が全くない人はいないといってもよい程、不整脈は一般的なものです。不整脈がありながら自分では全く気づかず、身体検査ではじめて不整脈を指摘される人もいます。治療しなくてもよいものもたくさんありますが、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発するものもあり、早期の治療が必要なものがあります。不整脈を指摘されたとき、あるいは脈の不整や激しい動悸を感じたときは専門医を受診し、適切な指導をうけることが大切です。

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